フット・イン・ザ・ドアとは?実験と応用例を具体的に解説!

今回はフット・イン・ザ・ドア・ テクニックについてお伝えしていきたいと思います。

これは営業の分野ではかなり有名なテクニックです。

僕も営業マン時代にはフット・イン・ザ・ドア・ テクニックを使って全国30支店ほどの会社で№1営業マンに何度もなりました。
すごく簡単で効果的なテクニックなので、その方法お伝えしていきたいと思います。

 

では、まずフット・イン・ザ・ドア・ テクニックは何なのかについてお伝えしていきます。

 

目次

フット・イン・ザ・ドア・ テクニックとは?

フットインザテクニックとはまず人間にある「一貫性のある行動をしたい」という心理を使ったテクニックです。

具体的には、何か大きな要求を通したいときには、小さいところからイエスをとっていくというテクニックですね。

「イエス、イエス、イエス」と相手に言わせることによって、最終的な大きな決断にもイエスと言わせるテクニックです。

そのイエスも徐々に要求を大きくしていくのがポイントですね。

僕の場合、営業マン時代に家庭教師の紹介をしていました。
家庭教師の申込書にハンコを押してもらうというのが営業のゴールでした。

なのでそのために色々と説明をします。

この時、説明の間に「ノー」と言わせないようにすることにすごく神経質になりました。

せっかくイエスと言ってきてもらっていたのに、どこかで「ノー」が入ると一貫性が崩れてしまいます。

すると最終的なクロージングをかけたときに契約率が落ちてしまうわけです。

だから絶対にイエスと言われる質問だけをしていきます

 

質問やお願いをして、「確実にイエスだけをとっていく」ということを意識していました。

例えば「こんにちは」から始まって、「今日はいい天気ですね」「今日はお休みなんですか」とかいう会話から始めます。

確実にそうだとわかっている質問をします。

もし相手が今日休みではない可能性があるんだったら「今日はお休みなんですか」という質問はしません。

でも天気は「晴れていたら確実にいい天気」です。
だからそこで「いい天気ですね」というような質問をしていくわけです。

 

まずは「今日はいい天気ですね」から始め、相手の勉強のことをいろいろ聞いていきます。

成績表を見たら、苦手な科目はわかります。
そこで「数学が苦手なんだね」というような形で質問を続けていくわけです。

そうすれば、確実に「イエス」という答えがもらえます。

数学の問題を解いていったり、テストを見てる中で「ここが苦手なんだね」「イエス」というふうに、イエスを重ねていきます。

「一貫性のある状況を作る」のがポイントです。

 

これは「イエスセット」という心理学効果も使っているわけですけれども、次は徐々にこの要求を大きくしていきます

イエスセットを作ってどんどんイエスを重ねていく中で、少しずつ要求をしていくわけですね。

「ペン借りてもいいですか」「赤ペン借りてもいいですか」「お母さん、 ちょっとトイレ借りてもいいですか」とか「ジャケット脱いでもいいですか」というふうに少しずつ要求を上げていくのです。

お母さんには「これからしっかり勉強させてくれますか」「はい」などというようにイエスをどんどんとっていって、ちょっとずつ要求を上げていきます。

 

そうすると最終的に「家庭教師どうですか?」とクロージングをしたときに「イエス」と答えてもらいやすい、という心理的テクニックを使っているわけです。

そのため、段階的要求方法という言い方もします。
段階的に要求を上げていくからですね。

 

フット・イン・ザ・ドアに関する実験

このフット・イン・ザ・ドア・に関しては面白い実験がたくさんありますのでいくつかご紹介したいと思います。

例えば、アメリカの心理学者のスティンプさんが行った実験が面白いです。

この実験は女子大生を対象に行われました。
最終的な目標は、「大学から何キロも離れたところに木を植えて欲しい」という要求に「イエス」と言ってもらうことでした。

植木をお願いする

でもいきなり「今度あそこで木を植えるので手伝ってよ」などと言ってもイエスはとりにくいわけです。

そこで、その前にアンケートをしました。

「環境問題に関するアンケートに答えて欲しい」と女子大生に頼んだのです。

その頼まれた女子大生はアンケートくらいだったらと快く引き受けてくれますので、その4日後に「今度はそこで木を植えるので手伝って欲しい」という要求をしたんですね。

そうするとアンケートを取らなかった女子大生に比べてアンケートを取った女子大生の方が、その要求を飲んでくれる割合が高かったのです。

これはなかなか面白いですよね。

またこれもアメリカの例ですけれども、がん患者の臓器提供の同意書にサインをしてくれる人が46%から74%に上がったという例があります。

46%の方はいきなりがん患者に「臓器提供の同意書にサインをしてくれませんか」、と頼んだ人たちですね。

 

では、74%の人たちにはどんなことをしたのか。

 

それは、「臓器提供の同意書にサインをしてくれませんか」とお願いする何日か前に「がん協会が発行しているピンバッチを身に付けてくれませんか」とお願いしてあったんです。

ピンバッチを付けることをお願いされた後に「同意書にサインをしてくれませんか」と言われているわけでした。

そうすると単純に同意書にサインをしてくれませんかと言われる場合に比べて、承認してくれた人が46%から74%まで上がった、とのことです。

次の例を見ていきましょう。
これもアメリカの例ですね。

1966年にアメリカの社会心理学者フリードマンとフレーザーが行った実験です。

この実験はカリフォルニアで行われました。

 

カリフォルニアに住む112人の住人に対して行われた実験でした。

最終的にはその人たちのお宅の庭の芝生に「静かに運転をしよう」という看板を立てさせてくれというお願いをしたんですね。

いきなり「看板を立てさせてください」と言った場合、16.7%の人しかokを出しませんでした。

 

でも例のごとくその前にあるお願いをすることによってokを出してくれた人が76%までにもなったんですね。

つまり4倍の成功率になったわけです。
一体何をしてこうなったのか気になりますよね。

簡単なことで、実は看板のお願いをする2週間前に、小さなお願いをしていたそうです。

「7.5センチ四方の安全運転をしようというステッカーを車のフロントガラスか家の窓に貼ってくれないか」とお願いしていたんです。

 

このお願いにokを出した住人は、「自分はokを出す人間だ」と認識するわけなので一貫性が働きます。
そしてもっと大きな要求、家の庭に看板をたてさせてくれという要求にもokしやすくなったわけです。

 

ただこの場合、「ステッカーを貼る」から「庭に看板を立てさせてくれ」への要求格差はかなり大きいです。

あまり落差が激しい要求というのは、本来はすべきじゃありません。

もうちょっと落差の低い要求をした方がいいですね。

 

ステッカーを貼らせてもらったら、次は「ポスター貼らせてくれ」、そしてその次に「看板を建てさせてほしい」とか、そういう段階を踏んだ方がいいです。

ちなみにこの実験には続きがあります。
この実験もまた面白いんですよ。

その実験では、「カリフォルニアをもっと美しくしましょう」というステッカーをまず貼ってもらいます。

その後に「安全運転をしよう」という看板を立てさせてくださいと言った場合、住人の承認率は47.6%だったんですね。
何もしない場合は16.7%だったので、最初の要求とは無関係のお願いしても、やっぱり3倍以上の結果が出たわけです。

これはやっぱり一貫性というのが働いているわけです。

僕が営業マン時代にお客さんに「ペンを貸してください」「ジャケット脱いでもいいですか」「トイレ貸してください」というふうに要求をしていったのは、この一貫性をつくるためであり、段階的に要求を上げていくためでした。

これと同じことが言えるわけです。

 

家庭教師をやることと、僕がジャケット脱ぐことだったりとか僕がトイレに行くこととかは何の関係もありません。

でも承認を繰り返すことによって、「承認をする」という一貫性が働くわけですね。

 

フット・イン・ザ・ドアの実例

ではこういう実験がある中で実例ってどのようなものがあるのか気になってきますよね。

よく使われている実例というのを紹介したいと思います。

先日僕が大阪を歩いていると、アンケートのお願いをされました。
そのアンケートに答えると、今度は「募金をお願いします」と言われたんですよ。

「100円でもいいので募金してください」と言われました。

…100円だと格好悪いので1000円しました。

これというのはフット・イン・ザ・ドアを使っていますよね。

まずはアンケートという小さいお願いから入って次にちょっとだけ高めのお願いをするわけです。

それが募金ですね。
こういうふうに街角アンケートでも使っています。

ではこれを恋愛に使ってみるとどうなるのか見てみましょう。

例えばあなたが学生で、同級生の子に片思いをしているとします。
まだちょっと話すくらいの仲ですね。

その時にデートしたいなと思うわけですよ。

でもいきなりデートしましょうだと断られる可能性も高いですよね。
だからどうするのか。

まずは小さなお願いをします。
イエスを取ります。

「お前ってだれだれと仲いいよね」とか、「お前っていついつに何してたよね」とか。

そういう簡単なイエスを取ります。

その後に要求をしていきます。

「消しゴム貸して」とか、「ペン貸して」とか、そのレベルでいいです。

ペンを貸す

まずはそこからはじめます。

そして、だんだんと要求を大きくしていくわけです。
「本貸して」とか、本を借りたら「本を返すから放課後ここにきて」とか。

そこまでいったらもう普通の友達からは抜け出してきているので、本を返すときに「今度この本貸して」、という感じでまた何か借りたらいいですよね。

そしたら次にまた返す機会があたえられるわけなので、返すときに「いつもありがとう」みたいな話をして、お礼をしてあげるという話をして、その子がして欲しそうなことを提案してあげるわけです。

そしたら相手もまたお返ししたいなという気持ちになります。

 

また本を貸してあげたいなとか、面白い話をしてあげたいなとか、そういう仲になっていくわけですよね。

だんだんと要求を大きくしていくわけです。

その仲になったら「今度一緒にどっか行こうよ」という話をすればいいのです。
いきなり「デートをして」と要求するより成功の確率があがると思いませんか?

このようにフット・イン・ザ・ドアはいくらでも実例があります。

 

応用例

自分に使う

さらにこれを自分に応用すると自分のことも動かせるようになります。
今からフット・イン・ザ・ドアの応用例「自分バージョン」を解説しますね。

例えばなかなか重い腰が上がらない時ありますよね。

何かやらなければいけないけれども、それをやるには時間がかかるしエネルギーが必要、という時は特にそうです。

 

そんなときにはいきなり高い壁を乗り越えようとするのではなくて、ちっちゃいところから始めるんです。

例えば1冊厚い本を読まなければいけないのだったら初めの3行だけ読むとか。

「3行だけ読んだらok」としておけば次もまた読みたくなりますから、それがだんだん1ページになり10ページになり、100ページになり300ページになり、というように読み進めることができるようになります。

3行だけ本を読む

もちろん途中で休憩を挟むとは思いますけれども、初めの3行を読まない場合に比べて大分処理のスピードが速くなるのがわかると思います。

 

ローボールテクニックとは

ちなみにフット・イン・ザ・ドアのような人間性の一貫性を利用した心理効果の中にローボールテクニックというものがあります。

このローボールテクニックも上手く使うと相手の承認を得やすくなるので念のためにご紹介しますね。

ローボールテクニックは、僕があまり好きじゃないテクニックです。
「やり方がせこいな」と思ってしまうからです。

相手に先に好条件だけを見せ、悪条件を後に伝えるとうやり方なんですよ。

好条件だけを伝えることで相手のコミットを取ったり承認させて、その後悪条件を出すんですよ。

相手は先に承認をしているので、悪条件を知っても「一貫性を保ちたい」という気持ちが働いてしまい、断りづらくなるんです。

これがローボールテクニックです。

恋愛でこれを使う既婚男性は非常に多いですね。

例えばベッキーが既婚男性と不倫をしていたニュースがありました。
あれもローボールテクニックを使っていますね。

相手側の男性は自分が既婚者であることを隠したままベッキーを虜にしました。

虜になってしまったベッキーはその後相手の男性が既婚者であるとわかってもどうしようもないわけです。

「誰かを好き」という気持ちは止めようと思っても止められるものではないので、ああいうことになってしまったわけです。

非常に汚いやり方だなと思っており、僕は非常にこういうのが嫌いです。

これはセールスでもよく使われています。
2年ほど前に僕は京都から静岡に引っ越しをしてきました。

その時、エアコンを2台買う必要があったんです。

地元の電気屋さんの広告を見てみると「2台目のエアコンが無料」だと書いてありました。

2台目のエアコンが無料だったらいいじゃないか、と電気屋さんに行ってみました。

そこでエアコンを2台選びました。

店員さんを呼んで、これ2台目のエアコン無料なんですよねと聞いたら、「2台目のエアコンが無料になるのは一台10万円以上のエアコンの場合のみです」と言われたんです。

僕が選んだエアコンは1台10万円もするものではなかったので、普通のお会計をすることになります。

このやり方すごく汚いなと思ったのでそこでは買いませんでしたけどね。

はっきり言ってこういうやり方をしていると嫌われます
息の長い経営はできないので、使い方には十分注意してください。

こちらはわざわざお店まで車で行って、エアコンを選んで、購入までしようとしているわけです。

そこまでのプロセスが全部無駄になるというのは僕たちにとっても不愉快な行為ですし、電気屋さんにとっても全く意味のないことですから、絶対にやめたほうがいいと思います。

上手く使ってください、ローボールテクニックは。

ローボールテクニックはいろんなところで使われています。

例えば、携帯電話が安いと言われて買いに行ったら、「途中解約すると違約金がいくらかかる」という話があったとします。

「契約期間は2年で終了しますけど、機種代金は3年間で分割払いになっている」と。

「2年間のところで解約時期がきて解約手続きをすると、機種代1年分の残っている分は払わなければいけない」という契約などもあります。

すごい汚いやり方だなと僕は個人的にすごい嫌なんですけど、使う場合は気をつけてください。

ちなみに、ローボールテクニックを使って相手が購入してくれたとしても、その方が喜んでくれたかどうかというのは別の話です。

というのは「費やした時間や労力がもったいないから」という理由で商品を購入してくれる場合があるんです。

これをコンコルド効果といいます。
せっかくここまで足を運んだのだから買わないともったいないと思う効果ですね。

その効果が出たから買っただけで満足して買ったわけではないので、二元さんというかリピーターにはならないですよ。

二度とローボールテクニックが使えないので全くオススメはしません。

フット・イン・ザ・ドアとローボールテクニックというのは、よく比較されて語られます。

でもフット・イン・ザ・ドアの場合は後から条件を変えたりはしません

ローボールテクニックというのは条件自体を不利に変えるんです
この2つは全く違うテクニックなので、変に使わないように気をつけて下さい。

フット・イン・ザ・ドアはどんどん使っていいと思いますよ。
後から条件を変えて相手に悪い印象を与えたりはしませんから。

 

注意事項

さて最後に、フット・イン・ザ・ドアの注意事項をお伝えしていきます。

フット・イン・ザ・ドア・ テクニックを知ったばかりの人って、やけに要求ばっかりするようになるんですね。

 

要求ばっかりしていても、それなりの態度で相手に感謝を表さない限り、相手は次の要求を飲んでくれにくいです。

なので承認を一つ一つ得るたびに、こちらから感謝の言葉を述べるなり感謝の態度を見せるなり、相手が「あなたのお願いを聞いてよかったな」と思えるくらいの態度は見せましょう。

感謝

そうすると相手にとってはあなたの要求を聞くことが快になってくるわけです。

脳みそが心地いい状態になるんですね。
なので要求をどんどんどんどん飲んであげたくなるわけです。

これがフット・イン・ザ・ドアの本質なので、ここを忘れないように使っていってください。
それでは今回は以上になります。

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