アンカリング効果とは?語源や心理学実験、応用例を解説!

今まで売れなかった商品が、ちょっとした工夫で急に売れるようになることがありますよね。

同じものを売っているにも関わらず、少し売り方を工夫しただけで2倍も3倍も売れるようになる。

 

その工夫の内の一つが、今回お伝えする「アンカリング効果」を応用したマーケティング手法です。

やるのは簡単!効果は絶大!

 

そこで今回は、アンカリング効果について、概要から事例、応用例まで詳しくお伝えしていきます!

それでは、早速レベルアップしていきましょう!

目次

アンカリング効果とは?

概要

アンカリング効果とは、50万円の商品を売るときに、

例えば、

「50万円です。」と伝えるよりも、

「100万円を50%OFFの50万円です。」と言われた方がお得感を感じる効果のことです。

 

同じ50万円でも、先に100万円が元値なのだと伝えておくことで、そこが基準になり、割安感を感じるわけですね。

受け取る側にとって、100万円が基準(100万円にアンカーが置かれた)になるのです。

 

これは簡単に使えますよね。

基本編です。

 

この簡単な心理効果を上手く応用するために、もっと詳しくアンカリング効果を解説します。

もう、あなたをアンカリングのプロになるくらいのつもりで!

 

それでは、具体例を中心にして説明していきます。

 

まずはマーケティング戦略の例から。

 

アンカリング効果マーケティング例

例えば、新しいパソコンを買おうとします。
大型家電量販店のチラシを見てビックリ。

気になっていたパソコン(130,000円で売っていた)が、決算セールで60000円引きの70,000円で販売してる…!

 

このチラシを見てこう思うでしょう。

「これは買いだ!もともとの値段が130,000円だったのに、70,000円に値下げしてるなら買おうかな」と。

 

でも、気になっていたパソコンがはじめから70,000円だったとしたらどうでしょう?

「気になっていたらなら先に買ってるよ!」なんて声が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか?

欲しくて欲しくてたまらないわけではなくて、気になってるだけですよ?

 

気にはなっているけど購買には至っていない。

そんな時の最後のひと押しとなりえるのがアンカリング効果を使った、値引き手法なのです。

 

130,000円を基準として考えるから「お得だ!今だ!」となるんですね。

では次、営業マンがアンカリング効果を使ったらどうなるでしょうか?

営業マンなら希少性と併せて使う?

 

営業マンはこれでもかとアンカリング効果を使いますよね。

僕もかつて営業マンだった頃、アンカリング効果使ってました。

 

希少性も併せたアンカリング効果を。

つまり、「今なら○割引!」とか^^;

 

僕はこれ好きじゃなかったんですが、そうやって売れと言われてたので(;´∀`)

・・というか、価格表にそれがドーン!!と書かれてましたし。

 

僕がやりたくなかった理由は、まるで自分の営業力が弱いのだと自ら言ってる気がしたからです。

「正規の価格で売れる魅力が商品にはあるし、それを伝える営業力が自分にはある」という営業マンとしてのプライドがあったからです。

 

この方法が駄目って話ではないですよ!

むしろ効果的なのでやってる会社が多いですよね。

 

希少性がなぜ効くのか?はプロスペクト理論でもご紹介しました。

プロスペクト理論をわかりやすく!マーケティング応用例とは

ところで、アンカリングの語源て誰でも知っているアレなんです。

大体、海の中にありますが・・わかりますか?

 

アンカリングの語源は?

アンカリングの語源は船の錨(いかり)。
つまり、アンカーです。

船を固定するために使われるアンカーが、見込み客のその商品に対するもやもやした価値基準を固定するのになぞらえているんですね。

 

ところでこのアンカリング効果、信じられないような実験結果が出ているのでご紹介します。

アンカリング効果の心理学実験

心理学の実験を2つ紹介しましょう。

カード実験

この実験の手順は以下のとおりです。

  1. 裏返された数字が書かれているカード数枚から、一枚を引く
  2. そのカードの数字を当てる
  3. ボールペンを渡し、その価格を予想する
  4. ボールペンの品質について感想を述べる

で、実験の結果はというと…

小さい数字を引いた人はボールペンの価格も低く評価し、
また、大きい数字を引いた人は、高く評価する傾向にあったのです。

当然ボールペンはどれも同じものなので品質は一緒です。

つまり、先に引いたカードの数字が、無意識に影響を与えているんですね。

 

これを踏まえて、さらにアンカリングの応用例をみてきましょう。

 

アンカリング効果の応用例

アンカリングを応用できる場面は様々ですが、身近なものでいうと人間関係があります。

つまり、第一印象がアンカリングとなるのです。

第一印象がいいと、その後の人間関係も円滑に進みやすくなりますし、
逆に悪いと、微妙な感じが続いてしまいますよね。

 

いや、ホントに第一印象は重要ですね。

ただ、第一印象が悪くても、第二印象、第三印象がよければ、アンカリングが功を奏します。

つまり、「この人嫌な人やわ〜!」と思っていたら「実はいい人やん!」「私勘違いしてたわ!」と、ギャップがある分いい人の印象を与えやすいんです。

 

まあ、これには敢えて挑戦する必要はないと思いますが、もし第一印象で躓いたら、「ギャップがある分いい人と思ってもらえるぞ!」と前向きに捉えてみてください。

 

次は、マーケティングでのアンカリング効果の活用例を詳しく見てみましょう。

実は理想の恋愛対象までもが、アンカリングされているんですよ。

 

恋愛

バブルの頃、巷での理想の結婚相手は

  • 高学歴
  • 高収入
  • 高身長

の所謂3高(さんこう)だったそうです。

「理想の恋人は?」「理想の結婚相手は?」とインタービューしている街角アンケートでは、皆さん揃いも揃って3高を主張してました。
(そういうVTRをみたことがあります)

まあ、これはメディアの見せ方による所が大きいいと思いますが、こういうテレビを毎日の様に見てると、それに感化されてくる人が大勢出てきます。

つまり、それまで3高など求めていなかった巷の人までが続々と「私の理想は3高!」と言い出すわけです。

3高にアンカリングされちゃってるんですね。

 

もちろんメディアにアンカリングされる現象は今の時代も変わりません。

白馬に乗った王子様が理想なのは、シンデレラや白雪姫の影響ですよね。

 

セルフモチベート

例えば将来サッカー選手になるんだ!という夢を持った少年がいるとします。

夢を叶えるにはたくさんの試練が待ち受けているのは、大人であるあなたは既にご存知のことでしょう。
夢を叶えるまでの長い道のり、時には目標に向けて頑張っていたけれど、次第にやる気が無くなってしまうことは当然あります。

そんな時、やる気を常にキープさせる方法としてアンカリングを使うのが効果的です。

「アンカリングノート」を作るのです。

 

アンカリングノートとは?

アンカリングノートとは、その日にあったよかったこと(モチベーションが高まっている時、調子の良い時の体験)を書き留めていく為のノートのことです。

この時、ノートに書く時には五感を意識し、感覚もノートに書きましょう。

さらに、調子のいい時を思い出せるような一言を付け加えます。

「俺は最高!」とか、そういう。ジェスチャーもつけると更に効果的ですよ。

 

その後もし、やる気がなくなってしまったときにはアンカリングノートを見直して、その時の感覚を思い出します。

体全体で思い出しましょう。

で、「俺は最高!」と唱えると、調子のいい状態が蘇りやすくなるんですね。

 

もし、あなたに今叶えたい夢があるなら、早速実践してみましょう!

案外早く夢が叶うかもしれませんよ。

アンカリング効果の事例

アンカリング効果はジャンルに人間関係でも活用できますが、アンカリング効果の事例で圧倒的に多いのはネットショッピングでしょう。

ネットショッピングをしていると洋服の値下げ価格や期間限定セールが多いのが目に見えてよく分かります。
例えば期間限定のプライスダウンで10,000円の服が5,000円になっていたら、ここぞとばかりに購入してしまいますよね。

 

最初に表示された価格が記憶に残っていると、値下げ後の価格を比較してしまうのはアンカリング効果のひとつであると初めに説明した通りです。

後から表示された価格を見て、こんなに安いと思わざるを得ない心理状態に持っていくのです。

 

あと、期間中に洋服を購入したらポイントが4倍もらえるとか。

期間限定で送料が無料という表示も、買う側の立場からすればアンカリング効果に見事にハマってしまいます。

購買意欲を掻き立てる要因となってしまうのですね。

 

こうして買ったものがどんどん増えていってしまう…

「あっ、これはアンカリング効果を使ったアオリ文だ!」と思ったら、一旦冷静になり、本当に自分が欲しがっているものなのかを考えてみてください。

意外と必要ないものだったりする事が良くありますよ。

価格表

価格表はアンカリングの鉄板ですよね。
やりすぎて、もはやアンカリングになっていない感すらあります。

メーカー希望小売価格:88000円
当店販売価格:29800円

みたいなの、よくありますよね。

投資

株の売買は世の中の政治の状況、経済の状況を見て今が売り時か買い時かを判断しますよね。
これも、アンカリング効果を活用しているのです。

1週間前から株価が一株1000円から徐々に下がっていって今は900円になった…とか。

あるいは1週間前から徐々に株価は下がってきていたけど、一昨日有名企業が倒産した影響で株価は急に900円に下がった、など。

これらの情報を元に投資家は持っている株を売るかどうかを判断します。
あとは、初心者なら、それにプラスして経済アナリストの予想を聞いて判断することもありますよね。

しかし、このやり方を主流にするのはとても危険なこと。

とは言いつつ、全く否定は出来ないのですよ。

やり方自体ダメだという訳ではないのですが、長い間株をしているような熟練した人でないと成功するのが難しいです。

だって熟練の投資家でも失敗するくらいですもの。
だからこそ株は面白いのですが…

投資も生き物みたいに常に価格は上下しているから、先が見えないものですよね。
なのでアンカリング効果が悪く作用してしまい、失敗してしまう確率が高い。

どういうことなのでしょう?

それは、集めた情報(その時の株価やニュース)が無意識のうちに対象の株を評価してしまうからです。

それを過去の株価の動き、誰も予測できない将来の展望で株が安いか高いか判断すること自体が、アンカリング効果に踊らされているので、目先の利益に囚われると失敗するリスクが高いのですね。

じゃあどうすればいいのか?

それは企業の財務状況を主として考えることです。

企業の財務状況はいわば見積表で、客観的情報。
他人の意見に惑わされることはありません。

客観的情報を把握すること…自分でその企業の価値を判断し冷静に基準を設定できるのです。

次はイチローが使ってるアンカリング効果について見ていきましょう!

イチロー

アメリカで活躍中のイチローこと、鈴木一郎選手。
イチローが打席に立つ時に必ずある動作をします。

あなたもご存知ですよね。
背筋をまっすぐにしながらバットを垂直に持ち、左手を肩に添える仕草。

この仕草がイチロー選手の精神を集中させ、常に最高のプレーを導くのです。

もしかしたら、野球の試合をした後、自分自身で試合を振り返り、絶好調のプレーをした時の感覚を思い出した時、この、「バットを垂直にして左手を肩に添える動作」をしていたのかもしれません。

このように、スポーツ選手が常に絶好調の状態に持っていくためにアンカリング効果を活用します。

さきほどご紹介したアンカリングノートに似てますね。

 

イチロー選手のほかにも、体操の金メダリストである内村航平選手も、フィギアスケートの羽生結弦選手も、試合前にアンカリングを行なって集中しているとのこと。

絶好調モードになるための、切り替えスイッチですね。

いずれ選手も有名なので、アンカリング効果を使っていると言われると納得です。

 

ただ、このアンカリング、問題があるのです。

アンカリング効果の問題とは?

さて、アンカリング効果はいいところしか思いつかないくらいですが、問題点が存在します。

マーケティングの話になりますが、価格表示を値下げ前と、値下げ後で比較させて、消費者にお得感を感じさせて購買意欲を掻き立てること。

他にも先着○名様限定と書けば今逃したらチャンスがないかもとついつい買ってしまいますよね。
売上を倍増させる近道といってもいいくらいです。

 

しかし、これらのアンカリング効果。
あまり利益に囚われ過ぎると、法に触れる恐れがあります。

例えばアンカリング効果を狙って通常の価格と値下げ後の価格を表示しますよね。

 

実際にあった話ですが、あるネットショッピングのセールで、通常価格を高く引き上げ、実際の販売価格を安く見せるという二重価格表示をしていたことが発覚。

その後このネットショップは景品表示法に引っかかり、消費者庁から指導を受けました。

利益を求めて消費者をないがしろにする行動は、道徳的にも許されませんし、そのネットショップのイメージダウンに繋がります。

結果集客も減ってしまうことにもなりかねません。

 

アンカリング効果を過度に求めないよう、気をつけましょう。
僕達が消費者の立場だった時も、気をつけないといけませんね。

自分自身で自分の身を守らなければなりません。

なので、日頃から安全で正しい情報を取捨選択する努力が必要なのです。

 

別の問題点としては、アンカリングがマイナスに働くと負のスパイラルに陥ってしまうことでしょう。

 

例えば自分の短所を基準値としてしまったとすると、自分の価値を低くして自信を無くしてしまうことだってあるわけです。

悪いイメージを持ってしまうと、それがアンカー(基準値)となって無意識のうちに悪い方向へ行ってしまうのです。

 

これはハロー効果を知ってる方なら常識的な話ですね。

ハロー効果とは?具体例や応用方法を分かりやすく解説!

 

最後に、アンカリング効果についておさらいしましょう。

アンカリング効果~まとめ~

今回はアンカリング効果についてお伝えしてきました。

アンカリング効果とは、「相手の無意識に基準を設定すること」でしたね。
今後も心理学効果や法則をどんどんご紹介していくのでお楽しみに!

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