歴史上の偉人は睡眠時間が短いことで有名です。
ナポレオンやレオナルド・ダ・ヴィンチやエジソンが当てはまるそうです。
最近の日本の芸能人なら明石家さんま、みのもんたさんも有名ですね。
ことの真偽は別にして、ナポレオンの睡眠時間がたったの3時間だけで歴史を創ってきたというエピソードを聞かれたことがきっとあるでしょう。
あなたもナポレオンなどのように、睡眠時間を減らしてでも仕事や趣味のための活動時間をもっともっと増やしたいと思いませんか?
そこで今回は
- どうすれば睡眠時間が少ない人になれるのか?
- ショートスリーパーになるにはどんな条件があるのか?
- ショートスリーパーになるメリットと危険性
について説明していきたいと思います。
ショートスリーパーとは?
ショートスリーパーとは「睡眠時間が少ない人」のことをいいます。
また「こまめに短い睡眠を取る人」ともいわれます。
もう少し詳しく言うと、「6時間以下の眠りでも、健康な生活ができる人」
のことをいいますが、一般的には1日の平均睡眠時間が4時間以下の人を指すことが多いですね。
ちなみに、武井壮は一日45分しか寝ないそうですよ(大げさに言っているだけだとは思いますが)。
ではなぜ、体も壊さずに健康な生活を送れるのか?
その疑問を解決するために、「睡眠のしくみ」を理解しておく必要があります。
ショートスリーパーは「こまめに短い睡眠を取る人」と言いましたが、実はあのナポレオンたちでさえ昼間でも眠たくなったときには、馬上でもこまめに仮眠したといわれています。
このこまめに「深い眠り」に入れる生活習慣ができており、身体の疲労だけではなく脳の睡眠も取れているので、心身の「健康な生活」が守られていたといわれています。
なのでショートスリーパーの特徴は「短い睡眠時間でも健康な生活ができる人」なのですね。
この「深い眠りになぜ入れるか」について、睡眠のしくみを簡単に説明します。
睡眠のしくみ
睡眠には2つの種類があります。
レム(REM)睡眠とノンレム睡眠です。
レムとは、REM(=Rapid Eye Movement)のことで、眠っている間に眼球が速く動く状態をいいます。
このときには体温も高くなって、夢を見たり発汗したりしているような「浅い眠りの状態」で、レム睡眠といいます。
逆に「深い眠りの状態」が得られるのをノンレム睡眠というわけです。このときには体温も低く、眼球は動かず静かな状態で深い眠りの状態です。
ショートスリーパーは仮眠を取ることでこのノンレム睡眠にスムーズに入り、常にに深い眠りを得ることができるのです(詳細は後節の「2: ノンレム睡眠」を参照)。
さて睡眠のしくみですが、人間は眠りにつくと、このレム睡眠とノンレム睡眠が交互に周期的に現れます。
大体90分(1.5時間)で1セットとなるこの睡眠単位が、通常は4~5回繰り返されています。
例えば睡眠単位が4単位なら6時間、5単位なら7.5時間の睡眠時間になるわけです。
この「睡眠単位が終了するときに目覚めやすくなっている」というのが睡眠のしくみで、このノンレム睡眠の深さ(4段階あるとされています)が深ければ深いほど、効率的に熟睡ができるわけです。
ショートスリーパーはこの「ノンレム睡眠の、大きく深くて効率的な熟睡を得られるようになっている」ということを覚えてください。
したがって、理屈上は最小の睡眠単位である90分のショートスリーパーがいても不思議がないことになります。
ショートスリーパーはこのことを自分の睡眠生活の中で自ら体感して、短い睡眠時間でも脳が深く眠れるノンレム睡眠へのコントロールをしているのです。
また短時間でも一日に何回も深く眠るので、睡眠効率が非常に良いわけです。
ではどうすればショートスリーパーになれるのかについてをご紹介します。
ショートスリーパーになる方法
さて、方法どおりで訓練すれば、誰でもショートスリーパーになれるのでしょうか?
残念ながら答えはNO!です。
やはり「短い睡眠時間でも健康な生活ができる人」こそショートスリーパーになれるのです。
そこで、短い睡眠時間になれていけるように、徐々に体を慣らしていくというショートスリーパーになる方法を御紹介します。
1:時間を徐々に減らして体を慣らしていく方法
睡眠時間を徐々に減らしていき、しだいに体を慣れさせていく方法は、日本だけではなく海外でも広く紹介されています。
その方法は、現在7時間の睡眠をとっている方なら、できれば3週間の実験期間をとって、その間は30分だけ睡眠時間を減らして6時間半の睡眠生活をし続けます。
ここで大事なことですが、毎日の起床時間だけは変えずに、就寝に入る時間を30分ずつ遅らせて(減らして)いくことです。
毎朝太陽の光を浴びて自分の体内時計がリセットされるので、毎朝良い寝覚めが得られます。
この3週間の中では昼間に眠くて仕方がなくなる時もありますが、これを我慢することで夜の睡眠もいっそう深くなります。
このようにして3週間ごとの訓練を続けていくのです。
それから「起床後の自分の生活が、いつも良い寝覚めで始まり健康な生活が送れているかどうか」をチェックしていきます。
起床後の生活で問題がないことを確認できれば、また次の週間で睡眠時間を30分減らして続けます。
もし寝覚めが悪くなってきた場合は、その睡眠時間があなたの睡眠力の限度であるということになるわけです。
健康上無理を感じたら訓練をやめて、また徐々に睡眠時間を戻していき元睡眠時間と健康な生活に戻しましょう。
さて、もし順調に睡眠時間を目標値(例えば5時間とか4時間とか)まで減らすことができれば、あなたはショートスリーパーになれる体質と可能性を持っているということです。
このような時間を徐々に減らして体を慣らしていく方法が合理的で良いだろうといわれています。
ここで、もう一度ノンレム睡眠などについてご紹介いたします。
2:ノンレム睡眠
よく昔から「寝る子は育つ」といわれてきましたね。
これには深い意味があるのです。
人間は進化の過程で「日の出とともに起きて、日の入りとともに眠りにつく」ということを体内時計として体や脳で覚えこんでいます。
また睡眠の最も重要な機能は「人間の大脳の成長、記憶の修復など記憶全体を創ること」であり、単純に肉体的疲労をとるためだけのものではありません。
この「寝る子は育つ」の意味は、赤ん坊の脳の機能が、寝ている間に成長して心身ともに良く育っていくということなのです。
もう一つの例になりますが、昔囚人を拷問する方法に「眠りを邪魔」することがあります。
人間は眠たい時に眠りを妨害し続けられると、この苦痛によってやがて気が狂ってしまい死に至るそうです。
いかに睡眠が人間にとって重要な機能であるかということです。
それでは睡眠のしくみはどうなっているのか説明します。
眠りは前にご紹介しましたように、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類からできています。
入眠すれば、まず浅いレム睡眠から始まり、やがて深いノンレム睡眠に入ったあとまたレム睡眠に戻ります。
このレムとノンレム睡眠がセットとなった睡眠単位(90分)を何回か繰り返していき、やがて覚醒(寝覚め)となります。
人間はこの睡眠単位である90分毎に目覚めやすくなるので、例えば最初の90分以内に無理やり目覚めさせられると最悪の覚醒状態、いわゆる「寝入りばな」の「寝ぼけ」状態になるわけです。
このぐっすりと熟睡できる深い眠りの期間では、眼球が静止して、体温も低いノンレム睡眠ですが、これには4段階の深さがあるとされています。
入眠直後のノンレム睡眠が一番深い熟睡状態なのです。
ショートスリーパーの人たちはこの睡眠単位が2~3回の段階で、ノンレム睡眠を終わって、やがてレム睡眠に戻ってパッチリと目覚めているというわけです。
起きるタイミングはこのレム睡眠の終わりとされています。
一番快眠ができた良い状態なのです。
このレム睡眠の状態では、眠っていても眼球がぐるぐると速く動き、夢を見ているなどで、脳は覚醒状態に近い浅い眠り期間にあるわけです。
つぎに、ここで『体内時計』について紹介しておきましょう。
睡眠の質にとって重要なのは2つ。
入眠のスムーズさと起床のタイミングです。
この起床のタイミングに絡むのが、自身の体内時計です。
ところが人間の体内時計は1日が25時間で構成されていて、もし太陽光の入らない部屋で過ごしていると仮定すると、地球の自転は一日24時間ですから、日にちが経つごとに入眠時間は1時間ずつ遅れて行きます。
それが朝起きる時間を遅くしていくことになり、「時差ボケ」障害を起こすわけです。
ここで朝日を浴びることが有効で、体内時計をリセットでき、また健康な1日の周期をもたらしてくれるわけです。
体温も1日で周期があり、活動する日中には体温が高く、就寝する夜間は体温が低くなるというようなリズムとなっています。
この体温の高低は重要で、ノンレム睡眠で深く眠るために、一旦レム睡眠に入って体温をあげ発汗させておくのです。
そしてつぎのノンレム睡眠で体温を下げる…という繰り返しで、この体温が高いところから下っていく途中の段階で深い眠りが得られるというメカニズムなのです。
さらに、目覚める時は体温の高いレム睡眠を終えて起きることになるので、体温が上昇していて目覚め感も良いわけです。
このように体内時計も目覚めのタイミングに関わってくるので大変重要です。
3:お坊さん
「お坊さん」は朝早くから起きて本堂や廊下、またお庭の掃除などをやっています。
その後は勤行や座禅など、食事は簡素な精進料理で済ますというイメージがあります。
また地域の相談ごとや檀家の生活指導など、一日を修行とお勤めなどで精力的に過ごしているという良いイメージもあります。
この早起きの習慣というか、お坊さんの生活は快眠のコツを伝えてくれるかもしれません。
お坊さんの話をよく聞くと、地域での模範を示すためには規則正しい生活が理想だと考え、「規則正しい生活スタイルを周りに示そう」という使命感を持っているように感じます。
これが、早起き生活を実現する根幹であるような気がします。
毎日地域の模範になりたいという適度な緊張感もあって風邪などもひかないようです。
健康的な生活の継続・持続のためにはこの緊張感も必要です。
ただ、お坊さんがショートスリーパーであるかといえば、必ずしもそうではないかもしれませんが…。
ショートスリーパーの一日のリズムも、ある意味で「規則正しい早起き習慣」にあるといえるでしょう。
毎日朝6時には起床してNHKラジオ体操をする人たちも、6時間の睡眠を取るだけなら定義上はショートスリーパーといえます。
また規則正しい起床などをする自衛官や刑務所の受刑者も、ショートスリーパーに該当するのかも知れません。
次に述べるような一日1時間以内睡眠のショートスリーパーは、「超短眠」者ともいえますね。
4: 超短眠
超短眠といえば、ネットでも「一日45分の超短眠法」などでサイトを発信している堀大輔さんがいらっしゃいます。
ここでは、この超短眠タイプを簡単に紹介してみます。
基本的なことは、「無理は禁物で、めざすのは自分でコントロール可能な自然な睡眠」だそうです。
主なポイントは
- 朝は決まった時間に起きる(目覚まし時計はなし)。
- 一日2回は15分以下の仮眠をとるようにする。
- 状況に応じ睡眠時間をコントロールするよう努める。
- 平日は平均45分の睡眠時間とする(これが超短眠!)。
これらを実践すれば、一日の時間を最大限に有効活用できます。
また、「睡眠の悩み」を持つ人にもヒントになりそうな内容を発信しています。
ただ「超短眠」は、「ショートスリーパー」よりも少し難しそうかなと感じます。
興味深かったのは、不眠症で悩んでいる人が、「いつも寝ないと駄目だ!と思って睡眠薬を使ったりしていたのが、寝なくてもいいんだよということに気付かされて、気が楽になった」とか、「以降は良く眠れるようになった」という部分です。
眠たい時には15分でも2時間でも気楽に仮眠を取るなどの「自然な睡眠」や「コントロール」が重要だという意味がよく理解できます。
5:性格
ショートスリーパーは、「ノンレム睡眠」に短時間で入れて、脳が深い眠りにつける習慣ができています。
このため睡眠効率が非常に高く、日中での性格や行動まで一般の人と違いが出てきます。
というのも、ショートスリーパーは外交的かつ精力的な性格で勤勉な野心家が多いとよくいわれるからです。
ショートスリーパーは活動時間が十分取れるために、充実した日々の生活を積極的に進めますので、おのずと外交的、楽天的な社交家が多いともいえます。
ではショートスリーパーは規則正しく短い睡眠時間を集中的に取っているのかというとそんなことはなくて、もっと自由で、仮眠も適宜とっているようです。
あのナポレオンやエジソンも行軍中の馬上でうたた寝したり、実験室で仮眠を取ったりしていたそうです。
それでは、もう少しショートスリーパーの具体的な性格と特徴をあげてみます。
●ポジティブ
ショートスリーパーは行動的で、思考もポジティブ(積極的)であるという特徴があります。
ショートスリーパーには長い時間があります。
行動しないと一日が長すぎて退屈すぎます。
時間を忘れるように行動すれば結果が得られますので、やはり成功者になります。
たくさんの失敗をしても、そこから学んで成功に結びつける行動力があるんです。
成功者にショートスリーパーが多いのは頷けますね。
このようにショートスリーパーは経営者や営業マンに向いているようです。
逆にロングスリーパーは思慮深すぎて、悲観的で行動が少ないようです。
あのアインシュタインのように研究職や技術職に多いようです。
何度も何度も思慮深く実験を重ねていかないと結果が得られないし、常に否定的かつ客観的な観察態度があるから、やがて新しい発見や発明に結びつくのでしょう。
このようにショートスリーパーはポジティブ思考なので、ショートスリーパーの経営者は成功すると言われてます。
あくまで一般的には、ですが…。
実は超有名経営者の皆さん普通に6時間以上寝てますよ。
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●楽天的
ショートスリーパーは楽天的(オプティミスティック)で、行動に当たってはリスクを恐れないという特徴があります。
睡眠時間が短い分、それだけ経営者にとっては行動する時間がたっぷりあるので、非常に有利だと言われています。
楽天的で活発な行動は、さらに次の行動を生み、楽天的でリスクも恐れないので事業が失敗を重ねても前へ前へとポジティブに成功への道を進みます。
一方ロングスリーパーの方は悲観的な思考と行動力の少なさでこうはいきません。
正直な話、悲観的な性格にメリットはありません。
逆にあるとすればリスクを感じるのが早いということくらいでしょうか。
前節のポジティブとこの楽天的であることとは重なり共通する部分も多いですし、やはりショートスリーパーは最強と考えられます。
●自信家
ショートスリーパーには自信満々の方が多いようです。
いわゆる自信家のことです。
自信があるから恐れずに行動できるんです。
確かに、楽天の三木谷社長やソフトバンクの孫正義社長もショートスリーパーで、お二人とも見たとおりの自信満々の方たちですね。
自信がなければ、行動力は生まれません。「どうせ努力しても無駄!」とか、「自分は駄目人間だから」とか否定的(Negative)に思いこんでしまうロングスリーパーは自らブレーキをかけているから成功が難しいのです。
一日3時間睡眠のように、眠っていなくても自信家は行動します。
ショートスリーパーは時間があれば楽天的に前向きで行動します。
だからショートスリーパーは成功しやすいのですね。
●短命ではない
ショートスリーパーは睡眠時間が短いという理由だけで、「短命」だと決め付けられるようなことが多いのですが、それは間違いです。
このことは、あくまで睡眠時間が少ないと駄目という世間一般のイメージが先行するからだと思います。
眠いときは仮眠を取ったりして、つねに深い眠りを得やすいショートスリーパーは健康で長生きもしています。
ショートスリーパーの睡眠は、短時間であっても深い脳の眠りであるノンレム睡眠の回数が多く、「効率の高い睡眠(睡眠効率)」がたくさん取れるので常に健康なのです。
しかも時間をポジティブに楽天的に使う習慣がついていて、時間を無駄にしないので生きがいもあり、長命だといわれても不思議ではないのです。
●欠点は短気
あえて欠点をいうなら、ショートスリーパーには短気な人が多いということでしょう。
すなわちショートスリーパーの最大のデメリットなのが、短気で怒りっぽい性格といわれます。
また人間関係を円滑にするのが苦手のようです。
ロングスリーパーは温和な性格の人が多いですし、ショートスリーパーは短気で攻撃型の人が多いです。
やはりビジネスの世界は生存競争ですので、負けん気の強さと行動力があるショートスリーパーが有利で成功するのでしょう。
6:短時間の仮眠
深い睡眠であるノンレム睡眠をコントロールできるショートスリーパーは、仮眠を短時間で上手く取れています。
目覚めの良いショートスリーパーは楽天家で行動力のある生活を送っていて、常に達成感を得ています。
この達成感がポイントです!
この時に分泌される脳内物質が快楽ホルモンといわれる「ドーパミン」です。
ドーパミンが活発に分泌されることで、日中では意識も強く保たれる覚醒状態にあり、集中力の持続やポジティブな思考が得られます。
ショートスリーパーはこのドーパミンの分泌を上手く引き出します。
では、日常でどんな時にドーパミンが分泌されるのでしょう。
- 早起きができた時
- 好きな食事をした時
- ウォーキングやジョギングをした時
- 仕事ができた時
こんな時に「やった~」と達成感を感じた時なのです。
このドーパミンをコントロールすることで、短時間の睡眠でも日中は集中して元気でパワフルに過ごせるわけです。
やはり、このためには積極的に仮眠をとることも重要です。
決して「眠いから摂る」という受身的な睡眠では不足で、集中力の持続とパフォーマンスのために進んで5~30分の仮眠を挟むようにするのです。
仮眠をとることで、もちろん疲労回復もでき、集中力の持続が得られるという原理です。
ナポレオンなども良く昼寝や仮眠をとったといわれていましすね。
ショートスリーパーに関する研究
ショートスリーパーは努力してなれるわけではなく、そういう遺伝子を持つからだという研究があります。
研究①
ショートスリーパーの人たちがなぜ睡眠時間が少ないのに健康なのか、また普通の人がショートスリーパーになる方法などがBBCで紹介されました。
ここで紹介されていたのは米フロリダ州に住む心理学者のAbbey Rossさん。
Abbey Rossさんが毎日4時間の睡眠で得られた時間をいかに有意義に過ごせたか、また彼が日中にけだるくなったりしないでいかに健康な生活を送れたかを語り、これはなんと「遺伝子」によるものだとしています。
イギリスのサッチャー元首相もこのショートスリーパーであったそうです。
研究②
また、別の研究が2009年に米カリフォルニア大学で行われました。
「毎朝4時に目が覚めてしまう」という女性とその家族の間の「遺伝子配列の比較実験」が実施されたのです。
そして、彼女の体内では「DEC2」遺伝子が突然変異を起こしていることが発見されました。
同時に彼女の家族にはこの突然変異は見られなかったことも判明しました。
このことは、生まれながらのショートスリーパーには「DEC2」遺伝子の突然変異があることを示しています。
研究③
また同じカリフォルニア大学のYing-Hui Fu教授の研究によると、ショートスリーパーの人たちは、「DEC2」遺伝子の突然変異で脳内のダメージの修復や老廃物の除去、また脳内情報整理を普通の人よりも短時間で処理できるため、睡眠時間が短くても脳の情報処理ができて、健康な生活が送れているのではないかと考え発表しました。
ショートスリーパーのデメリット
ではショートスリーパーにはどんなデメリットがあるかを説明します。
短命
すでに前でも書きましたが、念のためにもう一度説明します。
ショートスリーパーは睡眠時間が短いから「短命」だと思い違いされますが、これは間違いです。
ショートスリーパーは効率的な睡眠が取れていますので、健康的で長命になるような生活ができています。
「ショートスリーパー=短命」は過去からのイメージで、「睡眠不足は不健康である」とかを「短眠が不健康だ」と間違えて受け取られてきたことによる誤解なのです。
ショートスリーパーは眠りが深いノンレム睡眠を適宜取ることができますので、健康面でも問題はないと考えられています。
ただ、日中の活用時間の不足などから無理にショートスリーパーになろうとしているような場合は別です。
体が無理をしているとか、眠くて眠くてしかたがないのに無理に起きているとかの場合、体にも心にも変調や支障をきたすので、これを続けるならば短命になっても当然といえます。
本来のショートスリーパーは、睡眠時間が短いのが当然ですが、健康であることも当然なので、早死することなどはありえません。
こういうことで、ショートスリーパーが短命だというのは、まったくの間違いです。
寿命
人間は疲れた体や脳を夜間の睡眠によって修復し癒します。
日中使われている臓器や脳の疲れも寝ている時に休ませて修復しているのです。
したがって、睡眠不足が続くと、心身を疲れさせることになるので、それが不眠や不健康な生活になって、やがて寿命をも短くする結果につながります。
しかしショートスリーパーは効率的な睡眠が取れているので、健康や寿命に悪い影響を与えることはありません。
いかに質の良い、深い睡眠が得られるかが、寿命には大切なこととなります。
病気
睡眠時間が短くて体に変調をきたしたり、また夜になると眠れないなどの不眠症などはいわゆる「病気」です。
ショートスリーパーは病気ではありません。
効率的な睡眠をとれているので、日中に疲労したり集中力が続かないとかはほとんどありません。
ショートスリーパーはもし眠気を感じれば15分でも仮眠をとって深く眠り休息することができるのです。
一般的に睡眠不足によって起こる弊害としては免疫力低下や吐き気やめまい、頭痛や肩こり、腰痛などの健康面があります。
また美容上も肥満や激やせ、吹き出物や肌のトラブルがあります。
これが進めば身体能力の低下、自信喪失などから、やがて鬱病などになることもあります。
やはり睡眠時間には個人差がありますが、十分にとることが必要で、睡眠不足は駄目です。
中途半端なショートスリーパーは程度にもよりますが、リスクやデメリットが出ているかもしれません。
性格の変化
ショートスリーパーは楽観的なので外交的な方が多く、社会にも適応がしやすいとされ、また自信家でもあり実業家に向いているという特徴があります。
彼らは何事にもポジティブで活動的なため、その結果生活は多忙になるようです。
ところで、睡眠時間の違いで性格の変化があるのでしょうか。
睡眠には3タイプあります。
・まず睡眠平均時間が6~9時間の人を「ヴァリュアブルスリーパー(Valuable sleeper)」といいます。
日本人の80~90%がこれになります。
・つぎに毎日の睡眠平均時間が6時間未満の人が「ショートスリーパー」です。
日本人の5~10%が当てはまります。
・最後に毎日の平均睡眠時間が9時間以上の人を「ロングスリーパー」と言います。日本人の5~10%が当てはまります。
ここでめざすショートスリーパーは、前述しましたように「時間があれば行動」します。
性格は楽天的で活発で、さらに次の行動を生み、楽天的でリスクも恐れない前向きな性格であります。
一方睡眠時間が長くなるロングスリーパーは悲観的で行動力に欠けています。
性格ではロングスリーパーからショートスリーパーに変われば、その性格も楽天的、活発なものに変わるでしょう。
逆にショートスリーパーからバリュアブルスリーパーやロングスリーパーの睡眠習慣になると、性格も楽天的な人が悲観的になるようです。
習慣となった睡眠時間によって性格が変わるといえるようです。
その他の弊害
睡眠時間が短く不眠によるストレスなどがあれば、いろんな部分で身体的、美容的な病を呼ぶことは説明しました。
本来のショートスリーパーは達成感を得て脳内物質であるドーパミンの分泌を促して、毎日集中力を維持して健康な生活を送っています。
しかしもし単純に「寝不足」の状態、ストレスが発生しやすい状態だとすると、日中でも睡魔が襲ってくることになります。
車や重機の運転中や、また工場内や現場、道路上や港湾などでは周囲にまで危険をおよぼします。
結論から申し上げますと、日中に睡魔が現れることも考えておくべきで、日中の仕事の内容によってはショートスリーパーであることが大きな弊害となることもありえます。
少しでもこういう睡魔がでるような弊害リスクを避けるには、睡眠の質を下げないこと、すなわち日中は良く体を動かすように運動をするとか、規則正しい食事をするとか、たばこやカフェインは覚醒作用があるので就寝3時間前には止めることです。
また寝酒も睡眠を浅くするといわれています。
寝室の環境などでも、眠りが浅くなる過度な騒音、光、臭気や動きを避けるスタイルも取り入れておきましょう。
暗く、静かな安静環境ですね。
こういったことを取り入れることで睡眠の質を良好に保つことができることを自覚してください。
結局は必要な睡眠量は「睡眠の質 × 睡眠時間」なのです。
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ショートスリーパーと不眠症は別物
何度もいいますが、ショートスリーパーと不眠症は根本的に違うのです。
簡単にいうとショートスリーパーは良く眠れて健康ですが、不眠症は眠りたいのに眠れないという病気なのです。
同じように少ない睡眠時間でも、内容的に睡眠がうまくコントロールされているショートスリーパーとコントロールができていない不眠症とは別物なんです。
また脳内物質に関しては、ショートスリーパーは目標達成時に快感物質の「ドーパミン」が分泌されやすく、さらに同じく「やる気」や「意欲」、「睡眠の質」を高める「ノンアドレナリン」も分泌されています。
不眠症の人には、この「ノンアドレナリン」が少ないので眠りが浅く、何度も寝てしまうことでロングスリーパーになるので、性格として鬱や悲観的な性格や障害にもなりやすくなります。
ショートスリーパー体質は運がいいのか?
ショートスリーパー体質を生まれながらに遺伝子で持っている人たちは、生まれながらに「運」が良いといえるでしょう。
なぜなら他の人の倍以上の楽天的な活動時間(人生)が与えられているからです。
生まれながらのショートスリーパーの人たちは共通的に「DEC2」という遺伝子の突然変異が見られます。
しかしこの突然変異の経緯については、まだ未解明です。
人工的にマウスで実験したところ、マウスにこのDEC2突然変異遺伝子を組み込むと、通常のマウスよりも活動的になって、一日で1時間半以上も多くホイールを回して走り続けたということです。
さらに人を対象に比較実験した例もありました。MRI検査をしてみると、ショートスリーパーの脳内は外部感覚情報を処理する感覚皮質と記憶をつかさどる海馬の間での接続性能が強化されていたのです。
このような実験から、通常の人は夜の間に日中の記憶を整理・修復するのですが、ショートスリーパーの脳ではちょっとした昼間の仮眠タイミングでも処理ができるので、夜中にたくさん睡眠をとる必要がないのではと報告されています。
人口の1%とも言われる生まれついてのショートスリーパーの脳は、一般の人とは異なった遺伝子を幸運にも持っている人たちなのです。
遺伝子などの体質
ショートスリーパーの人たちと普通の人ではもともとの遺伝子が違うのです。
この遺伝子のおかげでノンレム睡眠が極端に少なくても、睡眠効率が優れて高いのです。
ところで、マイナス要素として短時間睡眠者は循環器系(心臓病や高血圧症)になりやすいともいわれますが、結論は出ていません。
突然変異DEC2遺伝子がこれらにまで効果があるのかはまだ不明です。
これらのことを考えると「ショートスリーパーは運が良い人なのであって、努力や訓練をしてなるのは止めた方が良い!」との考えもあります。
睡眠は健康のためにも、美容のためにも必要です。
良い睡眠をとって頭もすっきりとして、限られた活動時間そのものを効率的に無駄なく、人生を価値的に過ごす方がやはり一般人には自然で良いのではないでしょうか?
ショートスリーパーは運が良い人であって、体質で向きや不向きがあります。
努力だけでショートスリーパーになれると思い込むのは止めたほうが良いでしょう。
まとめ
以上、前半ではショートスリーパーになろうと主張してきました。
しかし後半では、生まれつきその資質がないのなら、ショートスリーパーになろうと努力するのは止めたほうが良いと書きました。
運が良いショートスリーパーは「全人口の1%が当てはまる」といわれています。
ショートスリーパーになるには、この先天的な遺伝説と後天的な訓練説があるようです。
いわばショートスリーパーになるには向き不向きがあるということなんです。
努力だけでは無理があり、デメリットやリスクもあるのです。
やはり睡眠時間を減らすことよりも、今の活動時間で処理できることへの価値アップを計ることがやはり王道なのではないでしょうか。
ただ、どうしても物理的に活動時間を増やして日常的に溜まっている仕事を消化したり、仕事量を増やして収入アップを図りたい意欲があることも、否定はいたしません。
このような時は、自己責任で自分の身体や心も監視しながら、睡眠効率をアップして段階的に「ショートスリーパー」にチャレンジしてみるのもいいのかなと思います。
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