マーケティングの世界では当たり前のように使えないと話にならない心理効果の一つが、今回お伝えする「カリギュラ効果」です。
僕は営業マン時代、素直でないお客さん相手にはよく、この「カリギュラ効果」を使って商談をまとめたものです。
今回はその、カリギュラ効果について詳しくお伝えします。
マーケティング、営業、恋愛などの対人関係など、どこでも使える便利な心理効果です。
ですので、この記事で自分のものにしていってください。
基本から事例、応用例など詳しくお伝えしていきます。
カリギュラ効果とは?
「カリギュラ効果」とは、禁止されればされるほど、逆にそれをやってみたいという心理が起こるような効果のことをいいます。
この頃、アマゾンの芸人の今田と東野がやっている番組で、様々な理由で地上波では放送できない企画を実行するのがこの番組の趣旨となっています。
つまり、禁止されたことをしてるわけですね。
これ。
僕も『東の、鹿を狩る』だけ見ましたが、たしかにグロテスクで地上波では無理だな・・・と。
鹿のお腹を裂いて、内蔵ドーンと出てきたりしますからね。
中々見れない光景だったので、興味深かったですが。
もともとのはじまりは1980年の米伊共同制作の上映映画『カリギュラ』が語源といわれています。
映画カリギュラは未成年者禁止映画で、ローマ皇帝カリグラを主人公にして、過激なポルノ描写があるために、ボストンなどでは一般公開禁止となったのです。
「見てはいけない」となったために却って話題を集め、許可されている他の州までわざわざ映画を見に行く人たちが激増したという逸話があります。
人は見てはいけないとか、やってはいけないと禁止されるとストレスになります。
そこにこれに勝ちたいという強い欲求が湧き上がるんですね。
このような心理行動を「カリギュラ効果」といいいます。
後日談では、この映画の上映禁止が解かれた瞬間に人気が落ちて見に行く人が激減していったそうですが。
たとえば日本昔話しでの、「鶴の恩返し」や「浦島太郎」などの見てはいけないと禁止されたものを見てしまうという人間の行動をいうんですね。
お茶の間のテレビ番組でもモザイクがかかったり、「某有名グループの○○」などの伏字、またしゃべっている言葉を隠す「ピー音」などの処理も、この人間心理をついたカリギュラ効果を利用して注目度や視聴率のアップを狙ったものといえますよね。
いわゆる「カリギュラ効果」を使ったマーケティング方法のひとつとして使われています。
カリギュラ効果の意味はOKですね。
ダイエットで失敗する理由が分かる気がしますよね^^;
大事なのは、この知識をどう使うか?
これから事例を見ながら学んでいきましょう。
カリギュラ効果の実例
それではカリギュラ効果の実例について、いくつかご説明してみましょう。
マーケティング
カリギュラ効果はいわゆるマーケティング技術の一つともいえますし、また人間心理学の応用ともいえますね。とくに広告の世界では日常的に活用されます。
「人を動かす心理学」「確実に買わせる営業と心理学」「ビジネスマンなら知っていて当たり前の接客心理学」など、企業における商品の企画・製造・運送・販売・宣伝などの一連の効率化活動といわれるマーケティングにも活用されています。
たとえばキャッチコピーでの活用などがありますね。
「○○に課題を感じない人には不向きです。○○革命セミナー」
「○○の環境に満足している方は参加できません。○○改善つぼセミナー」
などのものがあります。
これ以外の行動心理学を活用したものに。「上位企業はすでに導入・・」「業界人気ナンバーワンの講師○○氏が今回だけ講演・・」などの「バンドワゴン効果」(行列の先頭の車ワゴンに乗る意や勝ち馬に乗りおくれないなどの行動)などもマーケティングに活用できる行動心理学の一つですので、またこの誌上でも勉強していきましょう。
恋愛
なんと恋愛事情でも、相手を惹きつけるためにカリギュラ効果が使われています。
相手をじらしたり、嫉妬心を刺激したり、牽制したり。
たとえばあなたがプレイボーイだとして、複数の女性との面談の場で、気に入った女性がいたとしたらどうしますか?
そこで目当ての女性に対して、いきなり「タイプです」なんて言っては駄目ですよね。
女たらしか強引なデリカシーにない男性と見られるだけですね。
カリギュラ氏なら「俺って女性にあまり興味が持てないんです。そういう女性が出てこないからかも知れないんですが。」といいますね。
まわりはしらけるかも知れませんが、意中の女性にはかならず、この発言後に相談事をするなりのフォローをしておきますね。
女性は「私に、ひょっとして興味があるのかな」と思います。
女性に興味がないといったので、逆に女性にはストレスが起きて、なんとかしてあげないとと思うわけですね。
また、よく見かけるプレイボーイが実行するのは「意中の女性とは話しもするけど、他の女性を褒めるようにはせずに。
あえて褒めないなどというカリギュラ効果を狙います。
また、意中の女性から、お誘いがあった時は、まず一度断るんですね。
相手は「私のことあまり好きではないんだ」と思われます。
でも、プレイボーイはかならず、「さっきは申し訳ない、実は○○なことが起こって、でも大丈夫です、時間が取れますよ・・」とナイスフォローで一挙に彼女の気持ちをゆさぶってからキャッチします。
このように恋愛の駆け引きなどには、結構男女ともカリギュラ効果を使っていますよね。恋愛もマーケティング行動と同じようなところがありますね。
お笑い
もう、しばらく前になりますが、今では佐賀県の柔道少年、子どもの柔道大会と両親の応援風景が有名でTV視聴率を稼いでいます。
その活躍しているお笑い芸人のはなわですが、雪国もやしのコマーシャルで、このカリギュラ効果を使っていました。
「雪国もやしはめちゃめちゃ高いから~絶対に買うなよ~」と買ってほしく無いようなCMを放映していました。
消費者は「絶対に買うなよ~」と言われて、心の中にストレスができたんですね。
結局大勢の消費者が逆に絶対買ってやる~として行動したことがありました。
関西のお笑いの間でよく言われている「ボケ」と「突っ込み」ネタと「落ち」の関係もなんだかカリギュラ効果に似ているような気がしますね。
明石家さんまさんが「お前ブスやな~」といって、対談相手をこき下ろして話題に巻き込むのも「手練手管」(てれんてくだ)なんでしょう。
押すなよ
東京のTV番組でヒットした「熱湯風呂」でダチョウ倶楽部の上島が、熱湯風呂にまたがりながら「押すなよ、押すなよ」とカリギュラ効果を出します。
相方たちは当然押すなよというストレスを越えようと、上島を熱湯風呂に押して落としてしまいますね。
お笑いの手順のようなものですね。
こういうふうにお笑いにも、このようなカリギュラ効果を使った「ボケ」「突っ込み」「おち」や「ひねり」が多く見受けられます。
勉強になりませんか?
お笑いもある意味、かなりマーケティング手法が用いられているんですね。
身近な例
身近な例では、前述しました昔話がありますね。
「鶴の恩返しで、おつるの姿は絶対に見てはいけないといわれた主人公」
また「竜宮城で帰ってもこの玉手箱は絶対にあけてはいけないといわれてもあけてしまった浦島太郎」がありますね。
「この本は絶対にあけては駄目」「このおやつは食べてしまってはいけないよ」「お年玉は貯金するのよ」とか、子どものころから結構禁じられているのに、我慢できずに約束を破ってしまうことに愕然としたり、スリルを感じたりしたものです。
なので、「落書き禁止」「呼び鈴禁止」「魚を釣るな」「遊泳禁止」「18歳未満禁止」などは、人間心理的には逆効果と言えそうです。
カリギュラ効果を応用したコピー例
カリギュラー効果を使ったコピー例は、圧倒的に商品の販売広告に現れてきます。
10例ほど列挙してみました。
①閉店
「今日限りで閉店! 在庫一掃の大安売りはしません」
毎日が閉店でした。今日だけと思って買いに走るお客さんがいました。
②食品
「美味しすぎるので、ほっぺたが落ちないように」
ほっぺたが落ちるので、この商品だけは食べないように注意してくださいと逆の主張をしていますね。
③大人の雑誌
「袋とじや、ビニールでパッケージして読めなくしています。」これも禁じられれば見たくなります。
④ファッション
「このファッションは友達には言わないでください。あなただけに」と伝えて競争心を刺激します。
⑤アダルト動画
動画を用意しましたが、「刺激が強いので視聴ボタンはクリックしないで」ください。
⑥クレジットカード
「今なら金利が史上最低の○○%、いやなら見ないでください。」
⑦レストラン
「サービスが悪いレストランです。もうすぐ満員ですので入らないでください。」
満員なのにサービスが悪いわけが無いでしょう。
⑧たばこ
ここは禁煙コーナーです。「たばこは健康を害します。やめましょう。」
⑨お酒
「お酒は健康によくありません。常用に注意してやめましょう。」
常用に意識が向いて、家にキープしておきたくなりますよね(-_-;)
⑩パチンコ
「パチンコは18歳以上だけです。ギャンブルは常習性がありますのでやめましょう。」
わかっちゃいるけどやめられないのが、たばこ、酒、ギャンブルなどですようね。
⑪恐怖映画
「心臓の弱い人は決して見ないでください。」
やはり一体どんな内容なんだろうかと興味を魅かれますね。
これらはいずれもカリギュラ効果を狙った広報活動でしょうが、禁止ストレスを超越した快感ドーパミンが分泌されるようです。
ただ、ここが大事なんですが
いくらカリギュラ効果を使って購買意欲を煽っても、販売した商品が駄目なものだとお客さんは付きませんし、今いるお客も離れていきます。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、心理学を応用したマーケティングを学んで、小手先のテクニックが付いたがために、逆に悪い方向に行ってしまうのも珍しくありません。
テクニックも重要ですが、その前提として重要なのは、やはりお客への思いやりです。
これがないと、売れば売るほどクレームが増えます。
僕が以前勤めていた会社がそうだったというのは、ここだけの話ですが(-_-;)
思いやりのない心理マーケティングは、販売者もお客さんも不幸にしますのでお気をつけ下さい。
逆に、思いやりのある心理マーケティングは、販売者もお客さんも、ひいてはお店のある地域も幸せにできます。
ジャンジャン使っていって下さい。
カリギュラ効果の実験
カリギュラー効果を学問的に実験もされています。
まず古典的な実験ですが、100%の確率で効果があったといわれています。
実験はこうです。
通り道にある壁に張り紙があります。
そこには「覗かないでください!」と書いてあって、すぐ下に小さな穴が開けられています。
この場合通行人はどういう行動をとるのでしょうか?
結果は張り紙を読んだ通行人は100%の確率で、小さな穴から覗いたそうです。
カリギュラ効果には大きな潜在力があることを証明していますね。
禁止されるとやりたくなる理由とは?
人は原則的に、自分の行動は他人の意志で決められたくない、自由に自分の意志や感情で決めたいという欲求を持っています。
他人から禁止されたりすると、それはストレスとなって、ここから早く逃れたいと思います。
このストレスから強い反発が生まれて禁止されたことをやりたくなってしまうということです。
あくまで普通の人間が持つ心理学的な行動様式です。
「太るから食べたら駄目!」「遊んでないで勉強しなさい」「まだ結婚には早すぎます、お断りしなさい」などが典型的な禁止ワードでしょう。
やってはいけないことをやることで、「後ろめたさ」や「背徳感」から「優越感」「達成感」などの意識が生まれます。
おそらく脳科学的にもドーパミンのような快感物質が脳でできるのかもと思います。
最後に、カリギュラ効果について、簡単におさらいしておきましょう。
まとめ
今回は、カリギュラ効果心理学の法則を学んできました。
上手くマーケティングに利用することの重要性にお気づきなられたと思います。
これは禁断のマーケティング手法です。
その名は「カリギュラ効果」ですが、決して使わないでくださいね。
薬も時には劇薬になるんで。(私は反対のことを言っています)
ただ注意項目があります。
この禁止項目を実施するための障壁は、かなり低いものにすることが重要ですので、高くしすぎてはやる気も失せることがあります
また「禁止の事由」をかならず添えることが必須ですね。
でないと、わざとそういう風に言って「買わそう」としていると受け取られて、カリギュラ効果になりませんので、気付かれないようなコピーを作りましょう。
先程もお伝えしましたが、大事なのは思いやり、です。
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