心理学が面白いところは自分や人の心の動きの秘密がわかるところですよね。
その秘密を知ることで人間関係をうまくやれたりするのがまた魅力です。
今回は人間関係の代表ともいえる、人と人との間で作用するピグマリオン効果に焦点を当てました。
ピグマリオン効果はどういった人の間で効果を発揮するのか。
そしてそれを生活に取り入れるにはどうしたらよいのか。
そこのところを、以下の順番でわかりやすく解説していきます。
自分で自分にも使える心理効果なので、是非やってみてくださいね!
ピグマリオン効果とは?
ピグマリオン効果を一言で言えば、それは「人は本気で向き合えば期待通りに相手を向上させることができる」です。
実はこれ、ある神話が由来と鳴っています。
ピグマリオンというのはギリシャ神話に登場する青年彫刻家の名前です。
この青年ピグマリオン、自分で彫刻した女性像があまりに美しかったため恋をしてしまいます。
ちょっと危ない男の子な気もしますよね。
でも、ピグマリオンは本気でした。
彫刻の女性を愛おしく思って抱きしめたり、衣装や宝石で飾り付けたりしました。
結構ヤバイですねこの青年。
しだいに彼は彫刻を妻と呼んでベッドに寝せたりもする始末。
そして「この彫刻の妻をどうぞ人間にして下さい」
・・と、彼は毎晩神様に祈りをささげたのです。
最近は抱きまくらを彼女代わりにしてる男性がいるらしいですね。
それに近い・・。
しかし、その熱心さに心動かされたのが美の神アフロディーテ。
女神はついにピグマリオンの願いを叶えてあげたのです。
晴れてピグマリオンは元彫刻の女性と結婚し、幸せに暮らしました。
という神話です。
ここでは彼の「本気」がキーワードになります。
だから、「人は本気で向き合えば期待通りに相手を向上させることができる」なのです。
さらに彫刻女性からの目線では「人は周りの人間から本気で期待されると向上することができる」とも言い換えることができますね。
そんな効果があるというピグマリオン効果はいつ頃から提唱されてきたのでしょうか?
名前の由来の次はピグマリオン効果発見のなりたちを学んでいきましょう。
ピグマリオン効果が発見されたきっかけと実験
このピグマリオン効果という説は1964年にアメリカの心理学者ローゼンタール氏が唱えたものです。
ネズミの実験
彼はその前の年にネズミを使った実験を行いました。
ネズミを二つのグループに分けて迷路の実験をしようとしたのです。
その時ネズミの世話をする学生に実験の説明をこんなふうにしました。
「一つのグループのネズミは優秀な傾向を持つ利口なネズミたちです」
「もう一つのグループのネズミはどちらかというと鈍いネズミたちです」
そして迷路の実験で競い合ったネズミたちの結果は、優秀と言われたネズミのグループの勝ちでした。
ところが実際にはどちらのグループのネズミも同じように優劣のない普通のネズミだったのです。
これは学生のネズミに対する期待感がそうさせたのではないかとローゼンタール氏は考えました。
優秀だと言われて渡されたネズミならあなたも大切に扱うのではないでしょうか。
学生は優しくなでたりして「いい成績をだせよ」とささやいていたのかもしれません。
一方の鈍いネズミと言われて渡された学生はネズミには最低限の世話をしただけだったりしたのでしょう。
ネズミに人の気持ちなんかが伝わるかあ?
そう思いがちですが、動物だって優しい扱いをされる事は肌で感じます。
ネズミが研究に使われるのはそのくらい賢いことがわかっているからです。
ネズミは大事にされたことで能力を目いっぱい発揮できたのだと思われます。
そこでローゼンタール氏は、人にもこの行動が当てはまるのではないかと考え次の実験をしました。
教師での実験
次の年、その実験は小学校で行われました。
ある担任教師に、この先数か月の内の生徒たちの学力向上の検査をするという事を伝えました。
そしてその時一冊のリストを教師に渡してこう言ったのです。
「このリストには優秀な傾向が認められこの先成績が伸びる公算の大きい生徒の名が書いてある」
教師はそれから、リストにある生徒たちを特別な思いでもって接するようになりました。
ご想像の通り、リストに書かれている生徒は特別でもなんでもありません。
無作為に選ばれただけの名前でした。
しかし実際には数か月後、リストに記載された生徒の学力は本当に向上したのです。
これはリストにある生徒を見る教師の態度で生徒が期待されていると感じ、勉学に励んだのだと判断されました。
こうして人にも当てはまるということでピグマリオン効果は発表されたのです。
さらにローゼンタール氏が発表したので、これは「ローゼンタール効果」とも呼ばれることもあります。
和名では「教師期待効果」ともいいますが、まさにそのまんまで解りやすいですよね。
さて、神話では神がかりで彫刻が人間に進化してしまったわけですが
実際ではどうして人からの期待だけで向上できるのか不思議です。
そこで次は神がかりではない人の心の動きをもう少しくわしく説明しましょう。
ピグマリオン効果の仕組み
人は神様に心を動かされている訳ではありません。
強い気持ちが発生することで心は動きます。
ピグマリオン効果では人がどのように心を動かされるのか見てみましょう。
コトバがなくても人は相手の気持ちがある程度わかるものです。
それは目や口元の変化、身振り手振りなどのしぐさでなんとなくわかります。
それがほんの小さいものでも人にはキャッチする能力が備わっているのですね。
コトバがない時代ではしぐさで意思表示をしていたでしょう。
そんなコトバがない時代の方がうんと長かったわけですから、しぐさをキャッチする能力はもはや本能に近いと言えます。
そうして期待された人は、自分が大切に扱われているように感じます。
大切にしてくれる人の期待に答えたいと思うのは自然ですね。
ネズミの実験ではネズミが大切に扱われた結果、体調が万全になり迷路に挑めたというところでしょうか。
小学校の実験では教師の言葉掛けが自然と励ましの言葉になったのかもしれません。
いずれにしてもこれは実験と知らされていないところが重要になります。
つまり、心からの強い気持ちがピグマリオン効果の核といえるのです。
ここまでの解説だけではまだのどに何か引っかかっている感じがするかもしれません。
そのためにこの効果の逆の効果も知ってもらおうと思います。
それは、比較をする事で理解が深まるからです。
ピグマリオン効果の逆の効果の名前は「ゴーレム効果」といいます。
次はピグマリオン効果とゴーレム効果の比較をしていきましょう。
ピグマリオン効果とゴーレム効果との違い
ピグマリオン効果と比較するための「ゴーレム効果」の名前も由来を少しお話ししておましょう。
アニメ好きなら「ゲゲゲの鬼太郎」でゴーレムというキャラが出てきたのを覚えていらっしゃるかもしれません。
実はゴーレムとはユダヤの伝説の巨人の名前です。
そしてこの巨人は泥でできていて、意思を持っていません。
なので巨人を操る人によって、良くも悪くもなる怪物とされています。
鬼太郎でも悪い妖怪に操られたのでゴーレムは暴れていましたが、根は善良な巨人でした。
しかしゴーレム効果は悪い意味だけに使われてしまっているので、気の毒な気もします。
心理学ではこの「悪くなってしまう」ところだけに注目したのでしょう。
このゴーレム効果はピグマリオン効果と違い、その結果が悪くなってしまうところにあります。
上手に部下を扱う上司は部下に期待して部下のやる気を引き出し、業績を上げる事につながります。
反対に部下の扱いが悪い上司の部下はやる気をそがれて仕事の能率も落ちてしまいます。
- 前者はピグマリオン効果の結果
- 後者はゴーレム効果の結果
ということがいえますね。
つまり
- 接する人の期待値が高い結果、相手が期待通りになって向上するのがピグマリオン効果
- 接する人の期待値が低い結果、相手が期待通りになって向上できないのがゴーレム効果
てことです。
結局はどちらも、相手の期待通りになってしまう効果というわけです。
さて、もう少しゴーレム効果の例を出しながら、理解を深めていきましょう。
ゴーレム効果の例
例1)職場で上司が使うゴーレム効果
同僚や顧客など人前で叱責する
誰にでも起こり得るミスをわざわざ人前で大げさに注意する人もいます。
こんな時は恥ずかしさですぐにでも家に帰りたくなってしまいますよね。
人格を攻撃する
「お前のように暗い奴がこうしたミスを犯すんだ」
「こんなミスをするなんて生まれつき頭が悪いからだ」
なんて言われた日には落ち込んでやる気がなくなります。
棘のある言葉や大きな声を使う。
「脳みそがあるのか」
「小学生からやり直してこい」
こんな言葉は耳の近くでそっと言われても落ち込むでしょう。
こうした棘のある言葉は染みついてかえってミスが増える事になります。
さらに大声は相手に恐怖を与えることもあるのです。
実績を評価しない
新しい契約を結んできても反応がない。
業績は上げて当たり前という上司はいます。
ミスの時だけ反応する上司の下では業績を上げる気分はなくなるでしょう。
例2)家庭や交際中にパートナーが使うゴーレム効果
外見をけなす
「最近太った」「きれいになる努力をしていない」
こうしたことを言われ続けると女性は努力を放棄してしまう場合があります。
その結果、けなされたとおりの外見になってしまいます。
家事をけなす
一生懸命やったことに対して評価がないだけでなくダメ出しをされるのは男性女性ともあることです。
これが続くとやる気は失せ、家の中が荒れてしまうことになります。
言葉の暴力
これは職場の例と同じです。
「バカ」「死ね」なんていう言葉を投げ続けると人はその言葉を肯定するようになります。
自分はバカだ死んだ方がいいと思うようになると危険にさえなるのです。
例3)学校で教師が生徒に対しておこなうゴーレム効果
他の生徒の前で必要以上に叱責する
職場で上司がする例と同じです。
年齢が低い子でもこの恥ずかしさは同じです。
頭が真っ白になってその時間の授業は頭に入らなくなるでしょう。
結果的に成績が落ちてしまいます。
生徒の間違いを笑う
これもはずかしめる行為です。
この行為が続くと生徒は教師を信頼できなくなり、授業を聞けなくなります。
えこひいきする
他の生徒とあきらかに待遇が違うとやる気は失せます。
教師はそのつもりがなくても生徒は敏感にそれを感じ取るものです。
どんな場面でもこの無意識がくせものなのですね。
マイナスなイメージは鋭く相手に届いてしまう事を覚えておいて下さい。
例4)無視でおきるゴーレム効果
好きの反対は嫌いではなく無視といいます。
これは職場でも家庭でも意識的に取られる行動と思われます。
無視をされた人は暴言を吐かれるより傷つき、気力を失って行きます。
そしてすべての行動が低下してしまいます。
こうしたゴーレム効果の結果は誰が見ても気持ちのいいものではありませんね。
企業なら社内の人間関係がまずくなることで仕事の能率も落ちるでしょう。
それだけでなく社員一人一人の能力が落ちて会社全体の業績そのものも落ちることになります。
家庭内や恋人たちでゴーレム効果が起きると信頼関係が失われて悲しい結末を迎えるかもしれません。
学生は持っているはずの力を出し切れずに終わってしまう場合もあるでしょう。
心理学上でゴーレム効果というものがあるにしても、人としてこれは避けたい効果です。
でも、思い出してください。
ここでゴーレム効果の逆を行くピグマリオン効果が活きてくるのですね。
ゴーレム効果が相手の向上心をなくすなら、ピグマリオン効果は向上心を強くするものでした。
このピグマリオン効果を使えば
- 企業は成績アップ
- 学生も成績アップ
- 人間関係がよくなる
ことは間違いないでしょう!
しかし世の中にはゴーレム効果と同じく、無意識でピグマリオン効果を使っている人もいます。
部下を育てるのがうまい人とか学生の特性を活かしている教師はみんなそうです。
スポーツ選手で活躍している人もその監督や師匠と呼ばれる人がピグマリオン効果の達人の可能性は大いにあります。
彼らにならってこの素晴らしい効果を意識的に使って実際の職場に役立てたいものですね。
次はその応用編をまた例を使ってお伝えしようと思います。
ピグマリオン効果の応用方法
もともとピグマリオン効果は教育現場での心理学用語になっているものです。
なので上下関係で使える場が多いと言えます。
人はマイナスなイメージに敏感なだけではありません。
期待をかけられる時はやはりその気持ちが伝わります。
しかしここで大切なことがひとつありましたね。
人にかける期待は「本気」であること。
本気の気がなければ相手には伝わりません。
おべんちゃらをいっているのってわかりますからね。
それでは企業を例にしてピグマリオン効果の使い方をお伝えしましょう。
営業成績
企業にとって営業成績を上げる事は使命といえますよね。
実は、営業成績がふるわない部下にこそピグマリオン効果が活きます。
成績がふるわない部下は自分でも能力がないと思っていることが多いもの。
まずは上司から部下の力を信じることを始めます。
「君は能力がまだ眠っているだけだ」と自分にも部下にも言い続けることがポイントです。
やがて上司の信頼から部下のやる気が生まれます。
やる気は能率やアイデアなどを生み出し、やがてその部下の営業成績は伸びることになっていきますよ!
以上は上司の使うテクニックでした。
では横の関係に近い先輩後輩の立場ではどのようにピグマリオン効果は使えるのでしょうか?
後輩育成
後輩の育成を任された先輩もピグマリオン効果を発揮できる立場にあります。
特に新人で企業に入って来たばかりの後輩は自信満々な人の方が少ないはず。
自信がないのは能力にブレーキがかかっている状態です。
そのブレーキをピグマリオン効果を使ってはずしてあげましょう。
「自分の後輩は優秀な奴に違いない」とまず先輩が信じるのです。
その気持ちは後輩の面倒見をよくし、やがて後輩は先輩を慕うようになります。
そして営業成績が伸びたのと同じように後輩は先輩に報おうと努力し始めます。
結果、後輩は能力を活かすことができるようになるんですね。
でも企業は営業だけで動いている訳ではありませんね。
社員の人間関係をよくするための社員教育も重要です。
社員全員の心を捉えるピグマリオン効果はこうして使いましょう。
社員教育
企業の中では実にさまざまな役職があるものです。
- 社外で飛び回る営業
- 一日中パソコンに向かう経理
- 社員食堂で厨房を守る人
などなど・・
その人たち全てにやる気を起こす社員教育は難しいかもしれません。
そこでこのピグマリオン効果ではアクション側を「企業」にします。
「わが社は社会貢献を目指している」
「この会社を大きくするにはあなたの力が必要なのだ」
こうした理念を持って社員に接することでピグマリオン効果は動き出します。
また、仕事以外のことでも社員を褒めることは有効です。
雑談の時に「君はおもしろい人だね」と言われると嬉しいもの。
「いつも机がきれいだね」「発想がいいね」などという誉め言葉も自信を与えます。
何度も言いますが、これはあくまでも本気で言うのがポイントです。
繰り返しになりますが、どの場合も「相手を信じる」が肝心です。
そして「褒める」も重要なワードになります。
でも、ピグマリオン効果は企業以外には使えないのかな?
なんて疑問にお答えするために、プライベートでのピグマリオン効果使用例を見ていきましょう。
ピグマリオン効果の実例
先の例ではピグマリオン効果を使うのは企業そのものでも可だという例も出しました。
個人でも団体でもいいのですから、自分が自分にピグマリオン効果を仕掛けることもできます。
ここではピグマリオン効果でプライベートを充実させる例を出しましょう。
1:自己暗示
自分に自信がない時に有効なのが自己暗示。
でもピグマリオン効果は信用がないと効かないのでは?
自信がなくても人は自分を本当は信じているものです。
「今はダメでもきっとできると期待しているよ」
そう自分に期待するのです。
最初は小さなことを期待します。
例えば今までは読んだことのない厚い本を読む時
「私はこの本を読めるよ」なんて言葉を毎日唱えます。
青年ピグマリオンが神様に毎日願ったように。
やがてその言葉は言った人の中にしみ込んで本気になります。
本気で期待をされた潜在意識は本を読むことを続けさせてくれるはずです。
そうして達成感が味わえたなら本を読む前よりうんと自信がついているのが分るでしょう。
ではもうひとつプライベートでの実例を挙げてみます。
みんな大好きな恋愛問題でもピグマリオン効果は活躍します。
2:恋愛
自分で自分にピグマリオン効果を使うのは恋愛上でも役に立ちます。
告白をする自信がない時には使えますね。
自分は告白ができると暗示をかけることで告白のチャンスを見つけることができるでしょう。
また、交際中でもこれは威力を発します。
恋人の行動が気になる時、やりがちなのは相手への抗議。
人は抗議されると抵抗します。
この抵抗がまた抵抗を生んで関係がまずくなるというのがケンカの正体です。
この抵抗をさせないようにするのが恋愛におけるピグマリオン効果と言えるでしょう。
例えば喫煙が気になる彼に「タバコやめてよ」というだけでは禁煙させられません。
「タバコ続けるとあなたの健康が心配なのです」
そんなふうに言い続ける事で彼の中に
「自分を気遣ってくれている」
という気持ちが生まれたらピグマリオン効果の成功となるわけですね。
思うだけでそんなうまく行くのかなあ・・
そうそう、そんなふうにピグマリオン効果に疑問を投げた人はあなただけではないのです。
どんな研究結果の発表にも反対意見の発表が現れるのが科学です。
反対意見は別に敵意があるわけではありません。
反対意見をクリアしていくことで研究を深めるのも科学だからです。
そこで次はピグマリオン効果にも投げかけられた批判をお伝えしましょう。
ピグマリオン効果への批判
ピグマリオン効果は世の中に役立ちそうなのにどんな批判を受けたのでしょうか。
先にご紹介したローゼンタールの教師と生徒の実験からすでに異論は出ていました。
教師は優秀な子の名前が書かれているリストをきちんと覚えなかったという事実が判明したからです。
のちに同じようにリストの名前を把握しない教師の下で実験をスピッツという人がやりました。
そこでは先のローゼンタールの実験結果とは同じ結果は得られませんでした。
なのでピグマリオン効果は再現できないものという立場の学者は今もいるのです。
再現性がないものは「科学的ではない」とするのが科学の世界では常識なんですね。
さらにローゼンタール自身が再現の否定を証明するような教師と生徒の実験をおこなっています。
それは教師が優秀になると期待できる生徒と付き合う期間に関する実験でした。
この時、教師と生徒の付き合いが2週間以内の場合は91%にピグマリオン効果が見られました。
しかしそれ以上の付き合いになると効果が12%に落ちたのです。
これだとピグマリオン効果に大切な期待値は相手をより知ることによって変わってしまうという事ですね。
でもこれは教師による教育効果だけに注目したものです。
ピグマリオン効果は確かに科学的といえないのかもしれません。
しかし企業や家庭内では実際にこの効果が役に立つ場面があるのです。
論文の世界ではともかく、日常でこの効果をもっと気楽に使ってみたいですよね。
その使い方をもう少し具体的にご紹介してみたいと思います。
普段の生活で使えるピグマリオン効果の応用方法
普段の生活でピグマリオン効果を使うなら自己暗示が一番役に立つでしょう。
実は自己暗示にピグマリオン効果を使う方法は昔からみんなやっていました。
試験が近い時に机の前に貼り紙をしている場面、見たことがありませんか?
あなたもやったことがあるかもしれませんね。
大きな文字で「初志貫徹」とか「合格するぞ!」と書いて目に付くところに貼ります。
これは自分で自分に期待しているということでピグマリオン効果といえるのです。
女子なら鏡に「絶対きれいになる!」なんて貼っておくのもよさそうですね。
また、鏡に向かって毎日「おまえはできる」と言い続けるのもいいでしょう。
いつの間にか胸を張って姿勢の良くなっている自分にびっくりするかもしれません。
ピグマリオン効果についてずいぶん知識がたまったのではないでしょうか。
でも心理学に興味のあるあなたにはまだ物足りないかもしれませんね。
そこでピグマリオン効果とよく比較される心理効果たちのこともお伝えしておきましょう。
ピグマリオン効果に似た心理効果
ここではピグマリオン効果に近いと言われる「ハロー効果」と「ホーソン効果」をご紹介します。
ハロー効果との違い
ハロー効果は1920年にソーンダイクという心理学者が提唱した心理効果です。
ピグマリオン効果より40年以上も前に発表されていますね。
このハロー効果も実はお馴染みのものです。
「人は先入観によって対象物の全体像を作り上げる傾向がある」という心理のことを言います。
ピグマリオン効果もこの子は伸びるという先入観で現れるものでしたね。
どちらも先入観で気持ちがかわるものです。
例えば「美人は冷たい」なんて話を信じるとすべての美人に警戒してしまう。
きちんとした身なりの人は性格もきちんとしていると思ってしまう。
好きなアイドルのCM商品は買ってしまう。
こうした行動はよくあるハロー効果です。
ではピグマリオン効果との違いはどこでしょうか?
ピグマリオン効果は先入観を持って人に働きかけることで人を動かそうとします。
ハロー効果は先入観を持って自分のための行動はしますが、相手に働きかける事はないのです。
なのでピグマリオン効果では相手が変化することはありますが、ハロー効果では相手が変化することはないということになります。
わかりやすくなるようにもう少し例を出してみましょう。
ハロー効果の例
ハロー効果にはプラスに働く時とマイナスに働く時があります。
プラスに働くハロー効果の場合
- イケメンや美しいモデルがCMをするとその商品が売れる
- 立候補する時、推薦人が有名人や権威ある人が名を連ねていると合格率は高くなる
- 恋人を親に紹介する時、恋人の学歴が高い方が信用される
マイナスに働くハロー効果の場合
- 嫌いな人が自分を褒めても信用できない
- 前科のある人は怖い人
- 小さい時に犬に噛まれてから犬嫌いになる
- どれも案外身近に起きている事ですよね。
また、マイナスなハロー効果は損を招く場合も多いので気を付けて下さい。
例えば、クサイものほどおいしい・・という事実もあるのです。
見かけに惑わされないようにしましょう。
では次に「ホーソン効果」をご紹介します。
ホーソン効果との違い
ホーソン効果とは「特別な扱いを受けた人がその相手に報おうとするために良い結果を出す」という心理です。
これを見るとピグマリオン効果の生徒側の行動と同じように考えられます。
ではピグマリオン効果とは何が違うのでしょうか?
ピグマリオン効果は相手の期待を感じ取ってその期待に報おうとします。
対するホーソン効果は相手の自分への注目や関心が嬉しくて努力をするものです。
ホーソン効果は人の自己顕示欲を刺激する行動と言えそうですね。
ちなみに、ホーソン効果は医療分野で使われることが多いのも特徴です。
どんな例があるのかこれも具体的に見てみましょう。
ホーソン効果の例
自己顕示欲がポイントのホーソン効果も、応用範囲の多い心理効果です。
自分が信頼している医者に診てもらう患者は、病気を治そうとする意欲が増して実際に回復が早くなります。
また、同じ病気で入院している人ではお見舞いが多い患者の方が病気が回復しやすいと言われます。
これは、末期のがん患者にも当てはまることがあったそうです。
仕事は一人でするより、複数で競い合うような環境にすると、効率がアップすることがわかっています。
これも人の目を意識してあの人よりいい仕事をしようという気持ちを利用したものと言えますね。
一般に自己顕示欲は歓迎されない欲のひとつとされています。
しかしこれも使いようでは人の能力を上げる力となります。
上手に使って自分を磨くことに使いたいですね。
おや、自己顕示欲が歓迎されない・・なんてのはハロー効果では?
なんて、いくつもの心理効果を覚えてきましたが、こうしてすぐ使えますね。
心理学は目に見えないものを追及する本当に興味の尽きない楽しい科学です。
今回はそのほんの一部、ピグマリオン効果を解説してきました。
それではここでこれまでのまとめをしておきましょう。
ピグマリオン効果などの心理学まとめ
今回はやる気に関係する心理効果、ピグマリオン効果のついて解説してきました。
ピグマリオン効果とは?
「人は本気で向き合えば期待通りに相手を向上させることができる」という心理傾向のこと
発見されたきっかけと実験
1964年に心理学者ローゼンタールが提唱した
- 学生とねずみの実験
- 教師と生徒の実験
- ピグマリオン効果の仕組み
相手期待を込めて大切に思うことで相手がその期待に報おうとする
- ピグマリオン効果とゴーレム効果の違い
- ピグマリオン効果は期待がプラス方向に働く
- ゴーレム効果は期待がマイナス方向に働く
ピグマリオン効果の応用方法
- 営業成績・・上司から部下
- 後輩育成・・先輩から後輩
- 社員教育・・企業から社員全員
ピグマリオン効果の実例
- 自己暗示・・自分に期待をかけ「できる」ことを信じる
- 恋愛・・相手への期待を込めた言葉を使う
ピグマリオン効果への批判
- ローゼンタールの実験は再現性がないという見解
普段の生活で使えるピグマリオン効果の応用方法
- 自己暗示に使ってやる気を引き出す
例)目標を紙に書いて掲げる
ピグマリオン効果に似た心理効果
- ハロー効果・・ハロー効果は一部を見ることで全体を決めつける心理効果
- ハロー効果の例・・プラスに働く場合(推薦人が有力者だと合格率が上がる・高学歴は信用される)
- マイナスに働く場合(嫌いな人の言葉は信用できない・前科者は怖い人と決めつける)
- ホーソン効果・・相手の特別な視線を感じることでやる気が起きる心理効果
- ホーソン効果の例・・信頼した医者に診てもらう事で病気を治そうという意欲が湧く。見舞いが多い方が重病も快方に向かう
以上、まとめでした。
人という字は人と人がお互いを支え合ってできている・・なんて有名なセリフがあります。
誰かが誰かのやる気を引き出すピグマリオン効果もつまるところコレなんですね。
こうした効果を学ぶことでコミュニケーション能力も鍛えられるように思います。
コミュニケーションツールとしての心理学、これからも探求を続けていきましょう。
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